アウティングとは?
なぜ危険なのか・法律・防止策まで解説
アウティングとは、本人の同意なく性的指向・性自認などを第三者に暴露することです。「悪意がなかった」「噂レベルだった」でも、本人に深刻な被害をもたらすことがあります。2020年のパワハラ防止法施行以降、職場でのアウティング防止は企業の法的義務です。
アウティングとカミングアウトの違い
| 概念 | 誰が | 同意 | 性質 |
|---|---|---|---|
| カミングアウト | 本人自身が伝える | 本人の意思・選択 | 自己開示 |
| アウティング | 第三者が暴露する | 本人の同意なし | プライバシー侵害 |
カミングアウトを受けた内容を他の人に話すことは、たとえ「親切心」からであっても、本人の選択権を奪うアウティングになります。
アウティングの具体的な被害
人間関係の崩壊
職場・学校・家族など信頼していたコミュニティで孤立したり、いじめの対象になる。
就労・就学への影響
職場での不当な扱い・異動・解雇、学校での不登校・退学などにつながるケースがある。
精神的なダメージ
うつ・不安障害・PTSDなど深刻な精神的影響が出ることがある。最悪の場合、自死につながった事例も報告されている。
家庭内の問題
本人が準備できていない段階で家族に暴露され、家庭内の関係が壊れるケースがある。
一橋大学院生アウティング事件(2015年)では、男性からカミングアウトを受けた知人がLINEグループで暴露し、被害者は転落死しました。この事件が日本でのアウティング問題の認識を大きく変えるきっかけになりました。
法律とアウティング
パワハラ防止法(2020年施行)
2020年6月施行の改正パワハラ防止法(職場におけるパワーハラスメント防止措置義務)では、SOGIハラスメントとアウティングがパワハラの類型として明記され、企業に防止措置が義務付けられました。
2023年、職場でアウティングされ精神疾患を発症した事例が、日本初の「アウティングによる労災認定」を受けました。アウティングが重大な労働安全衛生上の問題であることが法的に認定された事例です。
個人情報保護法・プライバシー権
性的指向・性自認は「要配慮個人情報」に相当し、本人の同意なく第三者に提供することは個人情報保護法上も問題があります。また、プライバシー権の侵害として民事上の損害賠償請求の根拠にもなり得ます。
職場・学校での防止策
- カミングアウトを受けたら「話してくれてありがとう。他の人に話してもいいですか?」と必ず確認する
- 人事・採用情報として性的指向・性自認を共有する場合は必ず本人の同意を得る
- SOGIハラ・アウティング防止を研修・規則に明記する
- 相談窓口を設け、秘密が守られることを周知する
- 「この人はLGBTQらしい」と同僚・上司・友人に話す(事実であっても本人の同意がなければアウティング)
- SNSや共有チャットに書く(テキストで残ると被害が拡大しやすい)
- 「そんなつもりじゃなかった」「みんな知ってると思ってた」と弁解する
アウティングを受けたら
アウティングの被害を受けた場合、以下の対応が考えられます。
- 職場の場合:人事・コンプライアンス窓口への相談、または労働局の総合労働相談コーナーへ
- 学校の場合:スクールカウンセラー、または教育委員会の相談窓口へ
- 法的手段:弁護士への相談(初回無料相談を設ける事務所もある)
- LGBTQ相談窓口:相談先まとめも参照ください
出典・参考
- LGBT法連合会「LGBTQ報道ガイドライン第2版」
- 厚生労働省「職場におけるパワーハラスメント防止措置に関する指針」
- 一橋大学大学院アウティング事件判決(東京地裁・2019年)
- 個人情報保護委員会「要配慮個人情報について」