LGBTQとは?意味・種類・割合・SOGIEをやさしく解説
① LGBTQとは何か
LGBTQとは、性的指向や性自認の多様性を表すために使われる言葉です。レズビアン(Lesbian)・ゲイ(Gay)・バイセクシュアル(Bisexual)・トランスジェンダー(Transgender)・クィア/クエスチョニング(Queer/Questioning)の頭文字から成り立っています。
もともとは「LGB」という表記からはじまり、トランスジェンダーの「T」が加わり「LGBT」に、さらに「Q」が加えられて「LGBTQ」となりました。近年では、これらに収まりきらない多様な性のあり方を含むために「LGBTQ+」や「LGBTQIA+」という表記も広く使われています。
大切な前提:LGBTQは「特別な少数派の話」ではありません。誰を好きになるか、自分をどの性別と感じているか——これらは、すべての人に関わるテーマです。LGBTQ当事者も、そうでない人も、それぞれ自分の「性のあり方」を持って生きています。
② 各用語の詳しい意味
LGBTQの各文字が表すセクシュアリティを、一つひとつ丁寧に見ていきましょう。
覚えておきたいポイント:L・G・Bは「誰を好きになるか(性的指向)」に関する言葉。Tは「自分がどの性別か(性自認)」に関する言葉です。この2つはまったく別の概念です。「ゲイの人は心が女性だ」というのは誤解です。
③ LGBTQ+(プラス)の多様な性のあり方
「+(プラス)」は、L・G・B・T・Qという5つの文字には収まりきらない、さらに多様な性のあり方を表しています。代表的なものを紹介します。
| 用語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| アセクシュアル | エー・セクシュアル | 他者に対して性的な関心を抱かない(または非常に少ない)人。「A(エース)」とも。恋愛感情はある場合も、ない場合もある。 |
| アロマンティック | エー・ロマンティック | 他者に対して恋愛感情をほとんど抱かない人。性的関心とは別に存在する概念。 |
| ノンバイナリー | ノン・バイナリー | 「男性」「女性」という二項対立に収まらない性自認を持つ人。Xジェンダー(日本発の表現)と近い概念。 |
| パンセクシュアル | パン・セクシュアル | 相手の性別に関わらず、あらゆる性別の人に恋愛・性的関心を持つ人。「全性愛」とも。 |
| インターセックス | インター・セックス | 生まれつき、染色体・ホルモン・生殖器などが典型的な男女の定義に当てはまらない身体的特徴を持つ人。 |
| デミセクシュアル | デミ・セクシュアル | 深い情緒的なつながりができた相手にのみ、性的関心が芽生える人。 |
| ジェンダーフルイド | ジェンダー・フルイド | 男性・女性・その間など、性自認が状況や時期によって変化する人。 |
| アジェンダー | エー・ジェンダー | 特定の性別を持たない、または性別という概念が自分に当てはまらないと感じる人。 |
📖 これらの用語についてもっと詳しく知りたい方は、LGBTQ用語集50選も合わせてご覧ください。
④ SOGIEとは――性を4つの軸で考える
SOGIEを4つの軸で見る
「SOGIE(ソジー)」は、すべての人が持つ性の構成要素を表す概念です。Sexual Orientation(性的指向)・Gender Identity(性自認)・Gender Expression(性表現)の頭文字から来ており、「SOGI(ソジ)」に性表現のEを加えた形が広まっています。
LGBTQが「性的マイノリティを表す言葉」なのに対し、SOGIEは「すべての人の性のあり方を表す枠組み」です。異性愛者もシスジェンダーも、みんなSOGIEを持っています。
Sexual Orientation
誰に恋愛・性的関心を向けるか。異性愛・同性愛・両性愛・無性愛など、すべての人が持つ属性。
Gender Identity
自分をどの性別だと認識しているか。「心の性」ともいう。体の性と一致しない場合がトランスジェンダー。
Gender Expression
服装・言葉遣い・振る舞いなど、外見上で自分の性をどう表現するか。性自認とは必ずしも一致しない。
Sex Characteristics
染色体・ホルモン・生殖器などの身体的特徴。「SOGIESC(ソジエスク)」と表記される場合も。
「SOGIハラ」とは:性的指向・性自認を理由とした差別・嘲笑・いじめ・暴力などのハラスメントです。2020年以降、改正パワハラ防止法のもとで企業に防止措置が義務付けられています。本人の同意なく性的指向・性自認を第三者に暴露する「アウティング」もSOGIハラの一つで、パワハラとして労災認定された事例(2023年)もあります。
⑤ 日本での割合と現状データ
数字で見るポイント
LGBTQの割合は調査方法によって大きく異なります。国際的な比較調査から国内の自治体調査まで、複数のデータを見ながら現状を理解しましょう。
※割合にばらつきが生じる主な理由:①調査方法の違い(ランダムサンプリングか非ランダムか)、②設問の聞き方の違い、③年齢層の偏り(若い世代ほど自認率が高い傾向)、④カミングアウトへの心理的ハードルの高さ(日本では「いない」のではなく「言えない」人が多い可能性)、が挙げられます。
子ども・若者の現状(2025年調査)
認定NPO法人ReBitが2025年に公開した「LGBTQ子ども・若者調査2025」(12〜34歳の当事者4,733名対象)では、深刻な実態が明らかになっています。
| 指標 | 割合 |
|---|---|
| 過去1年に学校で困難・ハラスメントを経験した中高生 | 約9割 |
| そのうち教職員が要因と回答 | 約64% |
| 10代で自殺念慮を経験 | 約57% |
| 「小学校保健体育で多様な性について教わった」と回答した中学生 | 31.0% |
⚠️ LGBTQの子ども・若者は、精神的な困難に直面しやすい環境に置かれています。もし悩んでいる方は、一人で抱え込まず相談先に連絡することを勧めています。
⑥ よくある誤解を解く
LGBTQについては多くの誤解が存在します。一つひとつ、事実と照らし合わせて確認しましょう。
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「ゲイ=心が女性」「レズビアン=心が男性」性的指向(誰を好きになるか)と性自認(自分がどの性別か)は別の概念です。ゲイの人が「男性として男性を好きになる」ことも当然あります。性的指向と性自認を混同しないことが理解の第一歩です。
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「見た目でわかる」「そういう雰囲気がある」性的指向や性自認は外見・仕草・声から判断できるものではありません。「ゲイっぽい見た目」というのは偏ったイメージに過ぎず、実際のLGBTQの人々の見た目は千差万別です。
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「本人が選んでいる・治せる・一時的なもの」性的指向・性自認は本人の意思で選んだり変えたりできるものではありません。WHO・日本精神神経学会などの専門機関も、同性愛を「治療」するアプローチ(コンバージョンセラピー)は非科学的・有害とみなしています。
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「バイセクシュアルは「どっちつかず」「浮気しやすい」バイセクシュアルは「複数の性別に惹かれる可能性がある」ということであり、同時に複数の人を好きになるわけではありません。倫理観や誠実さは性的指向とは無関係です。
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「トランスジェンダーは手術をした人のこと」トランスジェンダーとは性自認が出生時に割り当てられた性別と異なること自体を指します。手術の有無、医療的措置の有無は関係ありません。当事者の身体への選択はその人自身のものです。
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「LGBTQは特別扱いを求めている」多くのLGBTQの人が求めているのは「特別扱い」ではなく「平等な扱い」です。異性カップルが当たり前に使える制度(結婚・保険・相続など)を、同性カップルも同じように利用できることを求めています。
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「周りにLGBTQの人はいない」調査では日本でも人口の3〜10%程度がLGBTQ当事者と推計されています。「いない」のではなく、安心してカミングアウトできる環境がないため「言えない」だけである可能性があります。
⑦ 日常でできること・アライになるには
「アライ(Ally)」とは、LGBTQ当事者ではないけれど、理解者・支援者として行動する人のことです。アライになるために、特別な知識や宣言は必要ありません。日常の小さな言動から始められます。
心がけてほしいこと
- 💬恋人・家族・配偶者を指す言葉を、性別を決めつけないニュートラルな表現で使う(「彼氏・彼女」ではなく「パートナー」など)
- 🪪本人が希望する名前・呼び方・代名詞を尊重する。わからないときは確認する
- 🔒誰かのセクシュアリティを、本人の同意なく他の人に話さない(アウティング防止)
- 📖LGBTQについて学び続け、疑問は本人ではなく書籍・サイトで調べる(当事者に「代表して教えて」と求めない)
- 🤝差別的な発言・冗談を聞いたとき、「それは良くないと思う」と伝える
- 🏳️🌈プライドパレードへの参加・署名活動・アライ表明など、社会的な可視化に協力する
避けてほしいこと
- 🚫「あなたってゲイなの?」と本人に直接確認する(プライバシーの侵害)
- 🚫カミングアウトされた内容を、本人の許可なく他の人に話す(アウティング)
- 🚫「見た目でわかった」「なんとなくそう思ってた」と言う
- 🚫「理解しようとしているけど、どうしても受け入れられない」と当事者に伝える(受け入れるかどうかは相手に委ねない)
- 🚫「LGBTQって流行ってるよね」「増えてるよね」という言い方(以前から存在していた)
🌈 カミングアウトされたとき、どう応えたらいいかわからなくなる人もいます。まず「話してくれてありがとう」と伝え、詮索せず、アドバイスもせず、ただ聞くことがもっとも大切です。
⑧ よくある質問
Q. LGBTQとLGBT、LGBTQIAの違いは何ですか?
LGBTは4つの頭文字のみ。LGBTQにはクィア/クエスチョニングが加わります。LGBTQIAはさらにインターセックス(I)とアセクシュアル(A)が加わった表記です。「+(プラス)」は「これら以外の多様な性のあり方すべて」を含む記号として使われます。どれが正しいとは言えず、文脈や発信者によって使い分けられています。
Q. 「性同一性障害」という言葉は今も使いますか?
「性同一性障害(GID)」はかつての医学的診断名です。WHO(世界保健機関)は2019年に「性別不合(Gender Incongruence)」に改名し、精神疾患の分類からは外れました。「障害」という語が当事者に誤解を与えることもあり、現在は「トランスジェンダー」という表現を使うことが一般的です。ただし法律(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律)ではまだ旧称が使われています。
Q. 子どもにLGBTQをどう説明すればいいですか?
「好きになる相手が違うだけ」「自分がどんな人間かの感じ方が違うだけ」という入り口で十分です。難しい言葉より「みんな違っていい」というメッセージが伝わることが大切です。2024年度からすべての小学校中学年の保健体育教科書に多様な性の内容が掲載されるようになりました。
Q. 「クィア」という言葉は使っていいですか?
クィアはもともと侮蔑語でしたが、当事者が自ら肯定的に使いはじめた言葉です。当事者が自分を指して使う場合は問題ありませんが、非当事者が他者に向かって使う場合は注意が必要です。その人が自分をどう呼ぶかを優先しましょう。
Q. カミングアウトされたら、何をしてあげればいいですか?
まず「話してくれてありがとう」と伝えてください。なぜ話してくれたのかを詮索したり、「なんで今まで言わなかったの」と言ったり、すぐにアドバイスをしたりする必要はありません。普通に接することが、当事者にとってもっとも安心できる対応です。
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