性自認とは?
意味・トランスジェンダー・ノンバイナリー・
日常での尊重まで解説

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性自認(Gender Identity)とは、自分がどの性別であるかという内的な認識・感覚のことです。出生時に割り当てられた性別と一致する場合も、一致しない場合もあります。性的指向とは独立した別の概念であり、外見・服装・振る舞いから推測することはできません。

性自認とは何か

性自認とは、自分の性別についての内的・主観的な感覚です。「心の性」とも表現されます。SOGIEの「GI(Gender Identity)」に対応し、すべての人が持っている属性です。

性自認は他者から決めつけることができず、本人が最もよく知っています。外見・声・体の特徴・服装から推測することはできません。

性自認は「誰を好きになるか(性的指向)」とは別の概念です。「ゲイの人は心が女性」という考えは誤りです。男性の性自認を持ちながら男性を好きになる(ゲイ)ことは当然起こります。

性自認の多様なあり方

シスジェンダー

出生時に割り当てられた性別と性自認が一致している人。ラテン語「cis(同じ側の)」が語源。

🏳️‍⚧️
トランスジェンダー

出生時に割り当てられた性別と性自認が一致しない人。手術の有無は関係ない。

ノンバイナリー

男性・女性の二項対立に収まらない性自認。「Xジェンダー」(日本語圏の表現)と近い概念。

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ジェンダーフルイド

性自認が状況・時期によって変化するあり方。変化すること自体がその人の本来の性自認。

アジェンダー

特定の性別を持たない、またはジェンダーという概念が自分に当てはまらないと感じる人。

クエスチョニング

自分の性自認がまだ定まっていない・探っている状態。これ自体が尊重されるあり方。

「性同一性障害」という言葉について

かつて「性同一性障害(GID)」は医学的診断名として使われていました。しかしWHOは2019年のICD-11(国際疾病分類)で「性別不合(Gender Incongruence)」に改め、精神疾患の分類から外しました。これはトランスジェンダーであること自体が病気ではないことを意味します。

日本では「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(2003年)がまだ旧称を使っています。行政・法律文書で目にすることがありますが、医学的には古い表現です。

ミスジェンダリング・デッドネームとは

ミスジェンダリングとは、本人の性自認と異なる性別で扱うことです。トランスジェンダー女性を「彼」と呼ぶ、女性の性自認を持つ人に男性用トイレを指定するなどが例として挙げられます。

デッドネームとは、本人が現在使っていない過去の名前(多くは出生時の名前)を本人の同意なく使うことです。本人にとって大きな苦痛になることがあります。

間違えたときは過剰に謝罪せず、すぐに訂正するのが最善です。「彼女……じゃなくて彼は」と自然に直せば十分です。謝り続けると当事者がフォローしなければならなくなります。

日常での尊重のしかた

  • 本人が希望する名前・呼び方・代名詞を使う。わからないときは確認する
  • 性別を前提にした話しかけ方(「男だから」「女らしく」)を避ける
  • 性別欄が「男・女」の二択しかない書類・フォームに気づいたら改善を提案する
  • トイレ・更衣室などの施設について、本人の希望を優先する
  • 「本当の性別は何?」と聞く(性自認が本人の性別です)
  • 手術の有無を確認する(身体への選択は本人のものです)
  • 「昔は○○だったんだって」とデッドネームを使う
  • 「見た目では全然わからない」と言う(この言葉が誉め言葉と思われがちですが、確認・比較を内包しています)

よくある質問

Q. 性自認は変わることがありますか?

あります。若い頃と大人になってから自認が変化する人もいますし、ジェンダーフルイドのように日常的に変化する人もいます。過去の性自認を「嘘だった」と見なすのは誤りで、その時点での本人の感覚が本物であったことに変わりはありません。

Q. 子どもが「自分の性別がわからない」と言ったらどうすればいい?

否定せず、「そうなんだね」と受け止めることが第一歩です。「大きくなればわかる」と打ち切ったり、「気のせいだよ」と否定したりすることは、子どもを孤立させます。専門家(医師・臨床心理士)への相談も選択肢のひとつです。

出典・参考

  • GLAAD Glossary
  • HRC Glossary
  • WHO ICD-11(2019年)
  • LGBT法連合会「LGBTQ報道ガイドライン第2版」